まだまだ幼い男の子の話しです。

「お空が泣いているね」
授業中にその男の子がつぶやきました。

外を見てみますと、空の雲からぽつぽつ雨が降ってきていました。
窓はその子の背中側にありますのに、音や匂い、気配で察知したようです。
感性がするどいんですね。

そして、昨日はお母様の目から涙が。

実はその男の子、別の教室から移ってこられたのですが、
その当時は勉強に向かう態度ではなく、「お母様の手をいつも握っていたい」
すきあらば「お母様のひざに座りたい」というタイプのお子さんでした。

変化に弱く、ぬくぬくしていたいそんな気持ちが勝っていました。

そのお子さんに、もう一歩成長してほしいと感じたので
「授業中に母のそばにいけるのは『よく出来た時』」という、教室ルールを作って取り組みました。
お母様もとてもよく協力してくれて、褒める時は大いに褒め、不必要に甘える時は毅然とした態度をとってくださっていました。

そして、昨日は苦手な運筆。
その子はこれまで、鉛筆を正しく持つ事が出来なかったので、紙の上で自分の思いどおりに書くことが出来ず、すぐに「イヤー」となってかんしゃくをおこしていました。

 (※鉛筆を正しく持つ事ができれば、可動域が広がりスムーズな線が描けます。)

これまで、出来なかったら逃げてきた生活から、がんばったら良い事がある生活へと変化させた結果、自分で鉛筆の持ち方を確認しながらゆっくりゆっくり集中して、ほとんどはみ出すことなくきれいな線が描けました。

出来た瞬間、お母様の方を見るとポロポロと涙が零れ落ち、喜びでこらえきれない表情でした。
もちろん、その男の子はすぐにお母様のところに飛んでいき、くちゃくちゃになるくらい褒めてもらっていましたよ。

私も涙が出て止まりませんでした。

男の子の気持ちが、逃げる事から、前向きに取り組むように替わった事が一番うれしいです。
驚いたのは、その男の子が私のぬれた眼を見た瞬間に見せた表情です。
「はっ」として眼を見開きました。そのあといつもの表情に戻ったのですが、何かを感じてくれたようです。
私が本気で取り組んでいるのが伝わったような気がします。
「幼児のお教室、やってて良かった」そう思えた瞬間でもありました。

さて、そのお子さんは、プリント教材だけでなくパズルクラブオリジナルカリキュラムの中の「カード教材」もあわせて取り組んでいらっしゃいます。

知能因子を満遍なく刺激する教材です。

能力をバランスよく伸ばす事によって、それぞれの能力がお互いに助け合う形でお子さんを成長させるんですね。
実際、この短期間でよく成長してくれたと思っています。

これを例えると何でしょうか。

よく栄養学の必須アミノ酸の説明で出てくる樽の形はご存知でしょうか。

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こんな形のものです。

上記のアミノ酸一つひとつを、それぞれ「計算」「思考力」「言語能力」「図形能力」「感情コントロール」「暗記力」などに置き換えて考えてください。バランスよく成長していれば樽の中にはたくさんの水を入れる事が出来ますが一つでもかけていると、中の水はこぼれてしまうという事です。

特に幼いお子さんの場合、これからたくさんの経験を積みますが、自ら能動的に経験するか、与えられたものをいやいやこなすかによってこの樽の大きさが随分替わってきてしまうのです。

『挑戦した→がんばった→褒められた』
という図式を大切にして、自ら活き活きと勉強できるように指導したいと思います。

がんばったけど出来なかった時は、褒めなくても良いので『認めてあげて』ください。
「がんばったね」と。
決して怒らないように。
(ただし、態度が悪い時、失礼な時は私は本気で叱ります。)