『計算が早い人』

算数はどんな学問?

と、聞かれたら「楽する方法を見出す学問」と即座に答えます。

というのは極端だとしても、かなりそれに近いものがあります。

「遠回りするのはしんどいから、近道を考えよう」という、思考回路を持ったお子さんは実際算数が得意になりやすいですね。

例えば、野球をしている人の中に『盗塁が得意な選手』っていますよね。まあ、盗塁だけでなくても足で点数を稼ぐタイプの選手。そういう選手は、打球が飛んだ距離と飛行ルートを瞬時に捉えて、どこまで走塁するかを考え、最適な走塁ルートを瞬時に思いつくのです。

私は以前乗馬が趣味でしたが、乗馬の障害競技も走行ルートを考えます。どこからどういう風に障害に向かっていけば次の障害をスムーズに飛ぶ事が出来るか。馬の能力と馬場を総合して考えます。

また、スリックカートなどに少しはまっていたこともあるのですが、こちらもどのカーブをどんな風に曲がっていけば、最短時間で周れるかを考えます。

つまり、楽して最大の効果が出る道を考えるのです。こういう思考が最適に出来た人間が結果を残し賞賛されます。

さて片や、計算ではどうでしょうか?一般的にはコツコツタイプ、まじめに無駄と思えることも一生懸命取り組むタイプが褒められませんか?

魚釣りは、ゆったり見えますが、意外とせっかちな人が釣果を上げます。せっかちな人は釣れなければ、えさや釣り糸をたらす場所、深さ、えさの種類を変えます。また釣れた時のデータを蓄積して最短で最高の釣果が得られる工夫をします。

この工夫が大切なのです。

例えばこんな問題があったとします。

6+19+25+17+24+9+21+11+13=

この問題をみて、①すぐに手を動かして前から順番にたしていく子、②「えー、メンドクサイ」と思う子、どちらの方が算数上手になるでしょうか?

私は②のタイプだと思っています。

①は女の子に多い「コツコツタイプ」ある程度のところまでは伸びます。

②はスポーツが得意な男の子に多いでしょうか。

実は②のタイプのお子さんが学力突き抜ける可能性が高いです。しかし、条件があります。

それは、思考を嗜好するか(笑)「メンドクサイ」で終わったら駄目なんですね。

最初に書いた野球や乗馬、カーレーシング、はたまた釣りの様に、思考し工夫できるかどうかにかかっています。

上の問題を「メンドクサイから、なんか上手い方法は無いかな」と、一瞬立ち止まって式全体を見渡し、6+24,19+11,17+13,9+21の組み合わせは全て30だから、30が4個とあと25だな。と、考えられるかどうかです。

これなら、前から順番にたしていったよりも計算間違いが少なく、答えもはやく出ますよね。

でも、こういう思考方法って幼児期からどのように育てたらいいのでしょうか?

ピグマリオン教材には、こういうものがあります。「にげみち」です。

年長クラスレッスンにげみち

ルール:ワニ(またはトラ・ドラゴン)のいる場所を通らず、それ以外の全ての升目をとおってスタートからゴールに行く道を考えます。斜めに通る事はできません。

初めて挑戦するときは、いきなり鉛筆で濃く書いて、失敗しては消しゴムで消して‥を繰り返します。

何枚かするうちに思考がだんだん出来てくると、まず全体をしっかり見てある程度ルートを考え(先を読む)、作戦を立ててから鉛筆で薄く書いていき、ルートがわかれば最終的に鉛筆で濃く書いていくようになります。

教室では、思考力がまだ出来ておらず、濃く書いては何度も消してばかりの子を「消しゴムのカス製造人間」と呼んでいます。(ひどいですね!)

力づくで解こうとしているんですね。こういう思考問題やパズルを『偶然上手くいった結果の産物』と、とらえている証拠です。

そして、何回もやって偶然に偶然をかさねながら粘り強く解いていく姿を見て「うちの子、集中力が付いてきた」と勘違いしている保護者の方もいらっしゃいます。私とは観点が違います。

私が望んでいるのは「考えもせず行動するような人になってほしくない」ということなのです。「考えて」といてほしいのです。

算数の話しにもどすと、文章題だけでなく計算問題でさえ、『思考し工夫すること』が大切です。難易度が上がれば上がるほど、トレーニングで計算がはやくなったお子さんより、思考タイプのお子さんの方が答えにたどり着くスピードもはやくなります。そして思考タイプに切り替える事が出来れば、①の子も②の子もグンと伸びてきます。