前回は、お父さんの「声」が
子どもの聴覚ネットワークと語彙の発達を助ける
というお話をしました。

今回は、多くのお母さんが

「もう少し静かにして…」

と思うかもしれない、あの遊びのお話です。

「荒っぽい遊び」

実はこれが、子どもの脳に
とても重要な役割を果たしています。


お父さんの遊びは、お母さんと違う

研究によると、父親と母親では
子どもとの遊び方に明確な違いが見られます。

お母さんの遊び
→ 言葉を使った遊び・絵本・ままごと
→ 穏やかで安心感を与えるスタイル

お父さんの遊び
→ 身体を使った遊び・追いかけっこ・くすぐり
→ 予測不能で興奮を引き出すスタイル

どちらが良いということではありません。

この「違い」そのものが、
子どもの脳の発達にとって必要なのです。


「荒っぽい遊び」とは何か

研究者たちは、父親に特有の遊びのスタイルを

Rough-and-Tumble Play(荒っぽいじゃれ合い遊び)

と呼んでいます。

具体的には

高い高い
肩車
馬乗り・くすぐり
追いかけっこ
取っ組み合い・相撲ごっこ
ボール投げ・障害物遊び

などです。

これらの遊びに共通しているのは

身体が激しく動く
予測できないことが起きる
興奮と笑いが混ざり合う

という点です。


3つの神経物質が同時に活性化する

荒っぽい遊びをすると、
子どもの脳では3つの神経物質が
同時に分泌されます。

ノルアドレナリン(覚醒・集中・興奮)
セロトニン(気分の安定・調整)
ドーパミン(意欲・快感・報酬)

この3つが同時に動くのは、
日常の穏やかな遊びではなかなか起きないことです。

激しく興奮しながら(ノルアドレナリン)、
楽しさを感じながら(ドーパミン)、
同時に「これはOK・これはNG」を判断する(セロトニン)

という体験が、
脳のさまざまな部位を一度に動かします。


前頭前野が育つ仕組み

荒っぽい遊びで特に鍛えられるのが
前頭前野です。

前頭前野は

感情をコントロールする
衝動を抑える
状況を判断して行動を選ぶ
集中して取り組む

という「理性的な行動」を司る部位です。

荒っぽい遊びの中では

興奮が高まる(もっとやりたい!)

「でも相手が痛そうだから少し加減しよう」

自分の衝動を自分でコントロールする

前頭前野が働く

この繰り返しが、
前頭前野を鍛えるトレーニングになります。

(Pellis & Pellis, 2007, Current Directions in Psychological Science)


社会性と「空気を読む力」も育つ

荒っぽい遊びには、もう一つ重要な効果があります。

それは「社会性の発達」です。

遊びの中で子どもは

相手の表情を読む
「楽しい?」「痛い?」を察知する
やりすぎたら止まる
相手に合わせてペースを変える

ということを自然に学びます。

これはまさに、
社会の中で人と関わるための
「非言語コミュニケーション」の練習です。

お父さんとのじゃれ合いを通じて
「相手の気持ちを読む力」が育ち、
それが学校や社会での人間関係にも
生きてきます。


今日からできること

難しく考えなくていい。

「高い高い」でも
「追いかけっこ」でも
「くすぐり合い」でも

子どもが笑って、身体が動いて、
ちょっとドキドキする遊びなら
それで十分です。

週に数回、10分でもいい。

お父さんにしかできない、その遊びが
子どもの脳の前頭前野を育てています。

お父さんができないなら、パズルクラブのバランスアンドビジョントレーニングの一部がその役割をカバーします。