工学部の女子学生を2040年に36%へ――未来のリケジョは、幼い日の「なぜ?」から育つ

政府の「女性活躍・男女共同参画の重点方針2026(女性版骨太の方針2026)」において、大学の工学系学部における女子学生の割合を、2025年時点の18%から、2040年には36%へ倍増させるという目標が示されました。

このニュースを聞くと、「女子を理系に進ませるための政策」と受け止められがちです。しかし、教育の現場にいる立場から見ると、これは大学進学の段階だけの問題ではなく、もっと早い時期からの経験の積み重ねに関わる話だと感じます。

これからの時代、女の子たちが活躍する場所は、ますます広がっていきます。情報、AI、ロボット、医療、環境、建築、そして宇宙。月面開発、宇宙ステーション、人工衛星、惑星探査など、宇宙に関わる分野でも、理工系の知識を持った女性たちが活躍する機会はさらに増えていくでしょう。

けれども、その未来は、高校生リケジョ倍増計画大学生になってから急に始まるものではありません。

「どうして星は光るの?」
「ロケットはどうやって飛ぶの?」
「月にはどうして模様が見えるの?」
「この形にしたら、もっと強くなるかな?」

そんな幼い日の問いや、身近な遊びの中での試行錯誤の中に、理工系の学びの芽があります。

工学とは、単に機械や建物、コンピューターを扱う学問というだけではありません。身の回りの困りごとを見つけ、「どうすればもっとよくなるだろう」と考え、試行錯誤しながら形にしていく学びです。

幼児期や小学生の子どもたちにとって、その土台になるのは、難しい専門知識ではありません。

積み木やブロックで構造を考えること。
パズルで試行錯誤すること。
紙飛行機を何度も折り直して、よく飛ぶ形を探すこと。
「なぜ倒れたのかな」と考えること。
「別のやり方でやってみよう」と工夫すること。
失敗を「できなかった」ではなく、「次に活かせる発見」として受け止めること。

こうした経験の中に、工学的な思考の芽があります。

大切なのは、「女の子だから理系は苦手」「男の子だからものづくりが得意」といった思い込みを、大人が無意識のうちに子どもへ渡してしまわないことです。子どもは本来、性別に関係なく、考えること、試すこと、つくること、発見することが大好きです。

特に幼児期・小学生期には、正解を早く出すこと以上に、「考え続けることを楽しむ力」を育てることが大切です。パズルや図形、数、プログラミング的な活動も、単なる先取り学習としてではなく、子どもが自分の頭で考え、試し、発見するための豊かな材料になります。

今回の政府目標は、大学工学系学部の女子学生割合に関するものですが、その実現には、大学入試直前の進路指導だけではなく、幼い頃から「自分にもできる」「考えることは楽しい」「つくることはおもしろい」と感じられる経験が必要です。

子どもたちが将来、工学を選ぶかどうかは本人の自由です。

けれども、選ぶ前から「自分には関係ない」と思ってしまうのではなく、さまざまな可能性を知り、自分の興味に出会える環境を整えることは、大人の大切な役割です。

未来の研究者、技術者、開発者、そして宇宙で活躍するリケジョたちも、今の子どもたちの中から育っていくのかもしれません。

未来は、今日の小さな「なぜ?」から始まっています。

出典:内閣府男女共同参画局
「女性活躍・男女共同参画の重点方針2026(女性版骨太の方針2026)」
2026年6月25日決定