昨日とある勉強会に出席し、立て続けに2本の講演を聞いてまいりました。教育関係者のみが受講できる会でした。
とてもためになるお話を多々伺えたと思います。
その演者に講演の後、個別にご質問をさせていただいたときにとても重要なことを教えていただきましたので、そのことをこちらをご覧いただいている皆様に問いかけたいと思います。
最近の政府及び文部科学省主導の英語教育には「国民の英語を上達させること」以外に、もう一つの目的があるということ。
「世のお母さんたちは『国語を大切にしましょう』といっても、躍起になって子どもを教育しないだろう。そこで『英語教育をしましょう』英語を小学校から『教科化』しますよ。というと、躍起になって子どもに英語を教育しようとするでしょう」
つまり、これは家庭の教育力を上げるのが目的だと。
そして、本来の目的はその次に来る、『国語力を上げること』なのだそうです。
「しっかりと英語の教育を始めたら、『国語の教育なしに英語力は育たないと皆さん気が付くでしょう』」
そうしたら、国語教育を見直すきっかけができます。」
「だから今、英語に踊らされている家庭はダメなんです。まずはしっかり国語力をつけることが大切なのです」とお聞きしました。
なるほど~、これを聞いて最近の英語教育に疑問を持っていた私は、本当に腑に落ちたというか、納得できました。
私はことあるごとに「国語を大切に。まずは母国語である日本語を身につけさせてね」と教室生に言い続けてきました。それゆえ、教室にもたくさんの本を設置し貸し出しを行っています。なぜなら日本語の起源は古く表現が豊かなので、哲学的なことを考えるのにぴったりだからです。
人は、言葉で思考します。言葉を知らなければ深く物事を考えることもできないのです。そして、思考するときの言語が母国語です。
幼少期に海外にいらっしゃって、思考がその海外の言葉になっている場合、その言語を徹底的に身に着けることが大切です。
例えば、生まれた時から12歳までA国で育ち、中学で日本に帰国し日本語を主として使うように環境が変化した場合、その人の思考がA国の言語になっているとします。すると、12歳レベルの言語でその後も思考することになりますので、考えが幼いまま大人になることが多いのです。ですからそのA国の言語で自分は生きていくのだという覚悟で、とことんその言語を身に着ける必要があるのです。そうしなければ、大人の考え方ができにくいのです。
人は言葉で思考するというのはそういう意味です。わかりやすく言えば、一人ことや悩み事を考えているとき、どこの言葉で考えているかで自身の母国語が何語かを知ることができます。
保護者の都合で、海外で幼少期を過ごさせる場合は、どちらを主言語にするかよく考えて行動しなければなりません。
そして、もう一つの講演を聞いて英語教育の狙いが国語にあることに確信が持てました。
それは、大学入試がセンター試験から共通テストに代わりますが、何どのように変わるのかというとても詳しい説明でした。
これまで現国長文で国語力を問われていたものは、同じ事柄を3者の論文や資料などが提示されそれを読み解いて問題に答える方式に変わります。
古文は、古文を読んだ3人の会話文が書いてあり、3者の見方を比較しながら問題に答えます。
数学は単純な計算式は消え、これが数学?と思えるような長文を読んだうえで、文章の中で問題となっている事柄を数学で解決する方法を問われます。(数学自体は全く易しいもので、ものの5秒で解けるようなものですが、問題文が長い!)
地理はこれまで暗記勝負なところがありましたが、「仮想の場所、仮想の条件」とされていて、その土地の特徴がかかれており、その土地がAからBに変化した理由をたずねています。
生物も「珍しい園芸植物Xの種子」を主題にしており、特定の知識の暗記を問うのではなく観察データを読み取って、考察する力と論理的な思考力が必要とされる作問となっています。
つまり、これらはすべて国語力を兼ね備えていなければ解けない問題です。
そして、英語は「要約力」がさらに必要となってきます。やはりそれは「国語力」ですね。
これらの傾向は、必ず中学受験にも反映されるものと思われます。
授業で私もよく言うのですが、論理的に物事をとらえる力、そして言葉を「抽象」と「具体」にスムーズに上げ下げできる力が大切です。それらは、パズルでいくらでも養うことができます。
また、人間力も大切です。それは、共感する力、イメージする力です。これはAIにはない力なのです。
パズルクラブは、保護者様と教室が手を取り合って大切なお子さまの成長を促すところです。これからも保護者様とともに歩み続けてまいります。