九月に入って、これからの秋シーズンが小学校受験の本番です。

パズルクラブは、小学校受験のいわゆる「対策」をする教室ではありませんが、これまで教室の生徒で受験した子は全員第一希望校に合格しています。誰一人かけることなく。

小学校受験の対策はしないと書きましたが、「受験します」と聞いた場合、そのお子さんが受験する予定の学校に沿った声掛けは鈴木が担当する生徒に限り行っています。
そのため、受験校がどういう生徒を求めているかということも調べることもありますし、保護者さまから説明会の資料を見せていただくこともあります。

さて、最近の小学校受験に関して思うことがあります。
それは「訓練によって無理やり出来るようにしたら合格できる内容」に、より傾いていることです。

小学校受験で測られるのは、大きく分けて「保護者の資質」と「生徒の将来性・本質」です。
この二つを、小学校受験塾は、徹底的にトレーニングを積むことによって、「対策」をし合格させるのが仕事です。

ところが、小学校受験レベルの問題を「トレーニングを積んで」出来るようなって合格した場合、入学してからが問題です。

私は「小学校側は、なぜトレーニング出来ない方法でテストしないのだろうか?」と、いつも疑問に思っています。

英才学考パズルクラブの生徒が、常に第一志望校に合格するのは、そういう作られた優秀さや思いやりの心ではなく、生徒本来の能力や周囲を思う気持ちを育てることによって、本質的に優れたお子さんに育っているからです。

例えば、工作をするのであれば、ノリはスティックのりではなく昔ながらのつぼ糊を使います。この使い方を見れば、その子のIQはほぼわかります。

糊のべちゃっとした感覚を極端にいやがる素振りを見せたら、発達的に大丈夫かな?と、心配になります。異常な量をつかみ取ったり折り紙やノートをべちゃべちゃにする子も同様です。

糊を塗る面積と指にのせる糊の量を、目分量で図ることが出来れば、その子の数量感は優れており、将来的に算数・数学には苦労しないだろうと予測できますし、実際私の教え子たちはそうでした。

必要量よりも少なめに糊を取る子は、何事にも慎重派です。

作品を貼り付けたあと、指に残った糊をどう処理するかによって、その子の資質を見ることが出来ます。

作品の端っこの方にまだ塗り残している場所はないかと確認して、塗れていないところがあれば丁寧に指に残った糊をつける。そういう子は、将来テストを受けるときも、制限時間内にきちんと見直しをして、うっかりミスが少ないですし、お友達関係もスムーズです。

教室では、糊を使ったあと、手をおしぼりで拭かず毎回必ず洗面台で洗っていただきます。
その時、指にまだたくさん糊が着いたまま手を洗いにいこうとする子には「まだたくさん糊がついているよ。糊は糊として使ってあげようよ。そのまま洗い流されて捨てられたらかわいそうだよね?」というような声掛けをします。大抵の子は、捨てられる糊がかわいそうに思ってくれて、だんだん必要な量と指に取る量が一致していき、自然と数量感が育っていきます。
手を洗いにいく時に、ちゃんと自分のタオルやハンカチを持って洗面台に行ける子は、「予測能力」が育っている子で優秀です。持っていくのを忘れる子は、毎回だいたい同じ子です。「予測能力」は、幼児教育の中では迷路やお話作りの力と密接な関係があります。

教室に通い始めた頃で、作品を作り終えたとき、机や自分の服で、糊をぬぐいとろうとする子もいます。家庭環境が透けて見えます。きっとおうちでも、ご飯を食べて手についてしまった食品を、服で拭いたりテーブルにつけたり口の回りを袖で拭いたりしていることでしょう。

糊ひとつをとっても、スティック糊からつぼ糊に変えるだけで、たくさんの「トレーニングで、強化できない本当の姿」を測ることが出来ます。

糊の他まだまだ、パズルクラブは「子ども本来の優れた能力を引き出す仕掛け」があります。

もし私が、小学校受験の問題を作るとしたら、今の形式を大きく変えることなくいろんなことが測れる仕掛けを作れるのになぁ。などと、少しもどかしく思いながら眺めています。