「うんとこしょ、どっこいしょ」——
小さいころ、何度も読んでもらった絵本『おおきなカブ』(ロシア民話)のことばです。
あのカブが抜けた瞬間、なぜか胸がどきどきしました。
大人になった今、あの「どきどき」に科学で答えが出ました。
📖 「おおきなカブ」のおはなし

ロシアの民話をもとにした絵本「おおきなカブ」を知っていますか?おじいさんが植えたカブが、びっくりするくらい大きくなってしまいます。

🥕 カブが抜けるまでの流れ
👴おじいさんがカブを引っ張る……抜けない
↓ よんでくる
👴👵おばあさんも引っ張る……まだ抜けない
↓ よんでくる
👴👵👧まごも引っ張る……まだ抜けない
↓ よんでくる
👴👵👧🐕いぬも…🐈ねこも…🐭ねずみも加わって
↓ そのとき!
🎉「うんとこしょ、どっこいしょ!」——やっと抜けた!

最後に加わったのは、小さなねずみでした。

わたしが子どものころ、この場面を読んでもらうたびに、ふしぎな気持ちになりました。

「あんなに小さなねずみが加わっただけで、なんで急に抜けるの?おじいさんたちがずっと引っ張ってたのに……」

そのころはうまく説明できなかったけれど、心の中にずっとその「なぜ?」が残り続けました。

🤔 なぜ、ちいさなねずみの力が「最後のひと押し」になれたのでしょう?
小さな力から始まってだんだん大きな人が助けるのではなく、最後に一番小さな力が加わるところが、この絵本の素晴らしい部分です。
🌍 実はこれ、世界の「しくみ」と同じだった

大人になって科学を学ぶうちに、あの絵本のふしぎが解けていきました。

答えのカギは2つあります。

ひとつは、フラクタル構造。「大きなものの中に、小さな同じ形がある」という、自然界に広くみられるしくみです。木の枝も、川の流れも、雪の結晶も、みんなこの形をしています。

もうひとつは、ぎっちり詰まった世界。わたしたちが生きているこの宇宙には、本当の意味での「空っぽ」がほとんど存在しない——という考えです。すべてがつながり、すべてが影響しあっています。

この2つのしくみを知ると、ねずみの力がなぜ「最後のひと押し」になれたのか、するりと分かってきます。

📚 この3回シリーズでわかること

第1回(この記事):おおきなカブが残した「なぜ?」という問いを立てる

第2回:フラクタルと「ぎっちり詰まった宇宙」の科学を知る

第3回:「小さなわたし」が世界を動かせる理由を考える

むずかしい話ではありません。自然の中にある「形のひみつ」と「つながりのひみつ」を、一緒に見ていきましょう。

▶ 次回予告

第2回:世界はフラクタルで、ぎっちり詰まっている
木の枝・雪の結晶・血管……なぜ自然界はいつも「同じ形の繰り返し」なのか?そして、この宇宙に本当の「空っぽ」はあるのか?科学の目で見てみましょう。

保護者の方へ

「おおきなカブ」は、協力・つながり・小さな力の積み重ねを伝える名作です。お子さんが「なんでねずみで抜けたの?」と聞いてきたら、ぜひ「いい質問だね、一緒に調べてみよう」と返してみてください。

「なぜ?」を大切にする習慣が、科学的思考の出発点になります。次回の記事では、その「なぜ?」に科学がどう答えるかをお届けします。