小さいころ、何度も読んでもらった絵本『おおきなカブ』(ロシア民話)のことばです。
あのカブが抜けた瞬間、なぜか胸がどきどきしました。
大人になった今、あの「どきどき」に科学で答えが出ました。
ロシアの民話をもとにした絵本「おおきなカブ」を知っていますか?おじいさんが植えたカブが、びっくりするくらい大きくなってしまいます。
最後に加わったのは、小さなねずみでした。
わたしが子どものころ、この場面を読んでもらうたびに、ふしぎな気持ちになりました。
「あんなに小さなねずみが加わっただけで、なんで急に抜けるの?おじいさんたちがずっと引っ張ってたのに……」
そのころはうまく説明できなかったけれど、心の中にずっとその「なぜ?」が残り続けました。
大人になって科学を学ぶうちに、あの絵本のふしぎが解けていきました。
答えのカギは2つあります。
ひとつは、フラクタル構造。「大きなものの中に、小さな同じ形がある」という、自然界に広くみられるしくみです。木の枝も、川の流れも、雪の結晶も、みんなこの形をしています。
もうひとつは、ぎっちり詰まった世界。わたしたちが生きているこの宇宙には、本当の意味での「空っぽ」がほとんど存在しない——という考えです。すべてがつながり、すべてが影響しあっています。
この2つのしくみを知ると、ねずみの力がなぜ「最後のひと押し」になれたのか、するりと分かってきます。
第1回(この記事):おおきなカブが残した「なぜ?」という問いを立てる
第2回:フラクタルと「ぎっちり詰まった宇宙」の科学を知る
第3回:「小さなわたし」が世界を動かせる理由を考える
むずかしい話ではありません。自然の中にある「形のひみつ」と「つながりのひみつ」を、一緒に見ていきましょう。
「おおきなカブ」は、協力・つながり・小さな力の積み重ねを伝える名作です。お子さんが「なんでねずみで抜けたの?」と聞いてきたら、ぜひ「いい質問だね、一緒に調べてみよう」と返してみてください。
「なぜ?」を大切にする習慣が、科学的思考の出発点になります。次回の記事では、その「なぜ?」に科学がどう答えるかをお届けします。

