前回は、お父さんとの「会話」が
子どもの語彙・論理力・言語能力を育てる
というお話をしました。

今回は

「お父さんがそこにいる」

というだけで起きる、
脳への影響についてです。

特別なことをしなくていい。
ただ、いるだけでいい。

それがなぜ子どもの脳に影響するのか、
科学的に見ていきます。


脳の「ストレス反応システム」とは

脳の中に

HPA軸(視床下部-下垂体-副腎皮質系)

というストレス反応のシステムがあります。

難しい名前ですが、仕組みはシンプルです。

危険やストレスを感じる

視床下部が信号を出す

コルチゾール(ストレスホルモン)が分泌される

身体が「戦うか・逃げるか」の状態になる

これは生き延びるための大切な仕組みです。

しかし、このシステムが
過剰に反応しやすい状態になってしまうと、

些細なことで強い不安を感じる
感情が爆発しやすくなる
慢性的なストレス状態になる

ということが起きます。


幼少期の環境が、ストレス耐性を決める

このHPA軸の「反応しやすさ」は、
生まれつきの部分もありますが、

幼少期の養育環境によって大きく変わる

ことが研究で示されています。

つまり、ストレス耐性は
後天的に育てることができます。

その鍵となるのが
「安心できる大人との関係」です。

「この人がいれば大丈夫」
「困ったときに助けてもらえる」

という体験を繰り返すことで、
脳のストレス反応システムが
落ち着いた状態に調整されていきます。


お父さんがいることで変わること

ここで重要なのが、
「お母さんだけではなく、お父さんにも」
安心できるという体験です。

父親が積極的に関わった子どもの研究では、

ストレス場面でのコルチゾールの上昇が抑制される

精神的に落ち着いた反応ができる

不安・うつになりにくい

という結果が示されています。

(Flinn et al., 2007, Human Nature)

お父さんという「2つ目の安全基地」ができることで、
子どもの脳は

「世界は安全だ」

という感覚を、より強く育てていきます。


「世界は安全だ」という感覚が生む力

「世界は安全だ」という感覚は、
単に「怖くない」ということではありません。

これが育つことで

知らない場所に行ける
新しい友達に話しかけられる
難しいことに挑戦できる
失敗しても立ち直れる
人を信じることができる

という力が生まれます。

これはまさに、
生きていくうえで必要なすべての力の土台です。

その土台を作るのに、
お父さんの「存在」は欠かせません。


「忙しくて関われない」お父さんへ

「仕事が忙しくて、あまり子どもと過ごせていない」

そう感じているお父さんも多いと思います。

でも研究が示すのは、
「長い時間」よりも
「質のある関わり」の大切さです。

帰宅したとき、子どもの目を見て「ただいま」と言う。
週末の朝、少しだけ一緒に過ごす。
寝る前に「今日どうだった?」と聞く。

その積み重ねが、
子どもの脳に刻まれていきます。

特別なことは何もいりません。

お父さんが家にいて、
子どもに目を向けている。

ただそれだけで、
子どもの脳のストレス耐性は育っています。

英才学考パズルクラブの、生徒のお父さんは送り迎えや宿題を手伝ってくださる方も多く、この点安心して見ていられます。

このお父さんの存在は、「おじいちゃん」「年の離れたお兄ちゃん、お姉ちゃん」でももちろん子どもにとっていい影響を与えます。